私は学生の頃、なぜか喫茶店のウエイターに憧れていました。
なぜ憧れていたのかは忘れてしまいましたが、とにかくウエイターというバイトが好きでした。
当時私は、某有名デパート内にある喫茶店でアルバイトをしていました。そのお店は、市内で一番おしゃれなデパートで誰もが知る名前。その中でテナント営業していたおしゃれな喫茶店。飲み物はもちろんのこと、軽食もこれまたおしゃれで、サラダなんかも小洒落て、見るものすべてがびっくり。
そんな「しゃれおつ」なお店でアルバイトをしていた時の話です。もう何十年も前の話。
お客さんに注文を聞き、それを運ぶのがウレイターの仕事。そしてお客さんが帰ったあと、片付けをするのも仕事。
とある日、お客さんが帰ったあと、いつも通り食器を片付けして、厨房の洗い場に持って行きました。
下げた食器の中に、軽食のサラダがあったのですが、ほとんど手つかずの状態。
「もったいないな〜」なんて思いながら、洗い場に持って行くと、洗い場のおばちゃんが、なんということでしょうか、サラダの上に乗っていたプチトマトを再利用するためか、丁寧に回収し水洗いを始めました。綺麗になったプチトマトを、水の入った容器に移したのです。ほかのサラダ部分はゴミ箱行き。
「え?なに?食べ残したプチトマトを再利用するの?マジかよ」
食べ残したものを洗って、またお客さんに出す。私には信じられませんでした。
きっと、あのプチトマトは特殊なトマトで、通常のゴミとは別に出さなければならない、そうに違いない。私は自分に言い聞かせ、その場を去りました。
なんどもお客さんが食べ残したプチトマトが洗われているの目にし、こんなことを聞くのは野暮なことだろう、でも気になる。私は勇気を振り絞って、洗い場のおばちゃんに勇気を振り絞って聞いてみました。
「そのプチトマトはどうなるんですか?」
ちなみに、洗い場のおばあちゃんは推定年齢70歳くらい。
「食べ物を粗末にしちゃいけないよ」
なるほど、その通りですね。
えっ?
すべてを悟った私は「大人の世界ってこわい」と思いました。
今の時代、このようなことはないと思います。SNSで拡散されたらお店潰れちゃいますからね。
ですが、昔はそういうことあったんですかね。おかげさまで外食でプチトマトが食べれなくなりました。
もともとトマトは苦手なので、実生活に影響はまったくなし。
外食でこういう話をたまにききますけど、キチンとしているお店には迷惑な話ですよね。
以上、ぬむめでした。